愛と命とその未来と:豊穣学園 金沢医療技術専門学校

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1947年金沢市生まれ。慶應義塾大学医学部卒。社会保険浜松病院整形外科部長などを歴任後、1989年に看護師養成校として石川医療技術専門学校(現:金沢医療技術専門学校)を設立。2009年に鍼灸学科を、2019年に歯科衛生学科を開設し、2021年4月には歯科技工学科を新設。独自の教育理論で真の医療人育成に挑戦している。

日本初の「病院に付属しない看護学校」。
その挑戦がアイシスのスタートです。

金沢医療技術専門学校(アイシス)は、2020年に創立30周年を迎えました。30年前に石川医療技術専門学校として開設した看護学科は、日本で初めての「病院に付属しない看護師養成校」です。当時の看護学校は、「◯◯病院付属看護学校」というのが当たり前で、私はずっとそれに疑問を感じていました。「教育機関の独立性は守られるべき」というのが私の考え。ならば自分で「病院に付属しない看護学校」にチャレンジしようと思ったんです。

もちろん前例のないことですから、設立まではなかなか苦労しました。でも逆風が強いほど「やってやるぞ」という気持ちになるのが私の性格で、誰が反対しようが自分のやろうとしていることは世の中にとって正しいことだと信じて、初の病院に付属しない看護学校の設立を実現しました。今では、そういう看護学校は日本全国にたくさんありますね。30年前のアイシスが、先陣を切って日本の看護教育の流れを変えたと言ってもいいのではないでしょうか。

看護師の卒後臨床研修制度も、アイシスが全国に先駆けて実施した取り組みです。卒業後に研修先の病院で経験を積む卒後臨床研修は、医師では当たり前のことでした。しかし看護師ではなぜか行われていなかった。私はこれもおかしいと思って、いち早く卒後臨床研修制度を取り入れてアイシスの卒業生に義務化しました。ようやく平成22年に国が看護師の卒後臨床研修を努力義務としましたが、アイシスが義務化した6年後のことでした。

少しずつ、でも着実に社会を変えてきたのがアイシスの歴史です。一方、医療の世界にはまだまだ課題があります。これは変えなくてはということがたくさんある。看護学科開設以来ずっとそうしてきたように、アイシスはその課題に挑戦していくつもりです。

「鍼灸」と「漢方」は車の両輪。
それが分断されているという問題。

たとえば鍼灸の世界にはこんな矛盾があります。中国の伝統医学である中医学では「鍼灸」と「漢方」は車の両輪とも言えるもので、中医師はどちらも扱うことができます。しかし現在の日本の法律では、鍼灸師の国家資格を持っていても患者に漢方を処方することはできません。薬剤師の資格を持っていないとできないんです。車の両輪である鍼灸と漢方が、それぞれ別の国家資格に分断されている。それが今の日本の法制度の問題点です。

だからアイシス鍼灸学科では、漢方の講義を取り入れています。法律はすぐには変わらないでしょうが、漢方の専門知識を持っていれば患者にさらに的確なアドバイスができますよね。薬剤師とタッグを組んだ新しいスタイルの鍼灸院という可能性だって生まれます。そうやって鍼灸と漢方、両方の知識と技術を備えた鍼灸師が日本の社会で活躍していけば、やがて法律だって変えられるかもしれません。

「歯と歯のWライセンス」で、
日本の歯科医療を変えていこう。

歯科医療の世界も同じです。義歯などをつくる歯科技工士は、法律によって患者に触ることができません。患者が口の中に装着するものをつくっている人が、実際に患者と接しながらぴったり合うのかどうか確認したり調整したりしようとしても、法律が認めていない。これはおかしいでしょう。

法的に認められていないのであれば、合法的にできるようにすればいいじゃないかと考えて、アイシスでは歯科衛生士と歯科技工士の国家資格を同時取得する「歯と歯のWライセンス」をスタートさせました。Wライセンスの歯科技工士であれば、歯科衛生士の資格でもって患者の口の中を触ることができるようになります。今よりもっと患者に喜ばれ感謝される、魅力的な職業にできるはずです。

歯科衛生士にとっても、歯科技工士の資格を持つメリットはたくさんあります。技工物を歯科医院で製作する内製化が進む今、歯科技工士の資格も持つ歯科衛生士は重宝され、働く環境も待遇も変わってくるでしょう。歯科衛生士として働き、産休中や育休中には在宅で歯科技工の仕事をするという働き方も可能になります。

歯科衛生士と歯科技工士のWライセンスは、これから歯科医療のスタンダードになると私は考えています。うれしいことに、同意してくださる歯科医師の方もたくさんいらっしゃいます。歯科衛生士、歯科技工士に関心を持つ皆さんは、ぜひアイシスで次世代の歯科衛生士・歯科技工士を目指してほしいと思います。

私が皆さんに伝えたいのは、自分の夢でも社会の課題でも、大きなものに挑戦しようということです。私は長く医療に携わってきた医師として、また未来の医療を担う人たちを育てる教育者として、これからの世の中を大きく変えるチャレンジを、皆さんと一緒にしていきたいと考えています。